喰いしばり癖が止まらない人ほど、自律神経が乱れやすいワケ

喰いしばり癖が止まらない人ほど、自律神経が乱れやすいワケ

寝ている間や、仕事中、スマホを見ているとき。

ふと気づくと、歯をギュッと噛みしめていませんか?

実は現代人の多くが、無意識の食いしばり癖を持っています。

その背景には、ストレス社会や姿勢の乱れ、長時間のデスクワークなどが関係しているといわれます。

しかし、注目すべきは「心のストレス」だけではありません。

実際に、体の構造的な歪みや神経反射が原因で、

意識しなくても“勝手に噛みしめてしまう”状態になっている人も多いのです。

例えば、猫背や前傾姿勢では頭が前に出やすく、

それを支えるために顎周りの筋肉(咬筋・側頭筋)に常に力が入ります。

さらに、噛み合わせのバランスが崩れると、

脳は「歯を合わせて安定させよう」と無意識に命令を出し、

結果として食いしばりがクセになっていくのです。

そしてこの“顎の緊張”が、実は自律神経を乱す大きな要因であることは、あまり知られていません。

顎まわりの筋肉は“自律神経のスイッチ”だった

人の顎には、強力な筋肉「咬筋(こうきん)」と「側頭筋」があります。

この2つの筋肉は、噛む・食いしばる・歯を合わせる動作を支えています。

これらの筋肉を支配しているのが「三叉神経(さんさしんけい)」です。

この神経は、顔や頭部の感覚を司るだけでなく、脳幹(延髄や視床下部)と直結しています。

つまり、噛みしめる動作は「脳のストレス中枢」に直接影響を与えているのです。

本来、噛む行為は交感神経(緊張の神経)を一時的に刺激します。

しかし、四六時中咬筋が固まっている状態になると、

その刺激が絶えず脳へ伝わり、交感神経が常にONの状態に。

副交感神経(リラックスの神経)が働けなくなり、体が「休めないモード」に入ります。

この状態が続くと、

・睡眠の質が落ちる

・肩や首が常にこる

・動悸や息苦しさが出る

・朝起きても疲れが取れない

といった典型的な自律神経失調症状が現れやすくなるのです。

食いしばり癖がもたらす「全身への波及反応」

顎の筋肉の緊張は、首・肩・背骨まで広がります。

なぜなら、顎関節は頭の骨(側頭骨)と連動しており、

その周囲には迷走神経・頸動脈・リンパ節など、重要な自律神経系の通り道が密集しているからです。

咬筋が硬くなると、

頭の骨の動き(クラニアルリズム)も制限され、

脳への血流が滞りやすくなります。

その結果、脳が酸欠状態になり、

「眠れない」「頭が重い」「集中できない」といった症状が出やすくなるのです。

さらに、噛みしめが続くと頸椎(首の骨)1番・2番が微妙に歪み、

延髄(自律神経の司令塔)への圧迫が生じます。

この微細な歪みは検査では見つからないことが多く、

整体や頭蓋調整の現場でしか確認できないほど繊細です。

つまり、顎の緊張 → 頭の歪み → 脳幹ストレス → 自律神経の乱れ

という連鎖が、慢性的に身体を緊張させてしまうのです。

リラックスできない体の正体:「顎ストレス」

多くの人が「ストレスで食いしばる」と思っていますが、

実際にはその逆もあります。

**“食いしばるからストレスが抜けない”**のです。

顎の筋肉が常に硬い状態では、

副交感神経を優位にする「安心・安全」のサインが脳に届きません。

体はずっと“戦うモード(交感神経優位)”に置かれたままになります。

そのため、

・リラックスしても緊張が抜けない

・寝ても眠りが浅い

・常にイライラや焦燥感がある

といった症状が現れるのです。

いくらマッサージや温泉でリラックスしても、

根本にある「顎ストレス」が取れなければ、脳は“まだ危険だ”と判断し続けます。

今日からできる「顎ストレス」セルフリセット法

1️⃣ 舌の位置を整える

舌先を上の前歯のすぐ後ろ(上顎の丸み部分)につけ、舌全体を上顎に軽く当てます。

この位置を保つだけで、咬筋がゆるみ、噛みしめを防止できます。

2️⃣ 顎ゆるめ呼吸

口を軽く閉じ、鼻でゆっくり吸いながら顎を少し下に落とす。

吐くときは「フ〜」と息を長めに吐きながら、肩の力を抜く。

1日5回でも迷走神経が刺激され、体がリラックスモードに入りやすくなります。

3️⃣ 頭を支える筋肉をリセット

後頭下筋群(頭と首の境目)を軽く指で押さえ、ゆっくり首を前後に動かす。

咬筋や側頭筋と連動しているため、ここを緩めると顎も自然にゆるみます。

4️⃣ 就寝時の工夫

枕が高すぎると、顎が引かれて食いしばりやすくなります。

「横向き寝」で枕の高さを調整し、首のラインがまっすぐになるよう意識しましょう。

まとめ:噛み合わせを整えることが、自律神経ケアの第一歩

「食いしばり癖」は、単なるクセではなく、

体と脳が“緊張状態から抜け出せない”サインです。

噛み合わせや顎の筋肉のバランスが崩れると、

脳幹や自律神経に常に負担がかかり、心身のリズム全体が乱れます。

逆に、顎の力を抜くだけでも体のリラックスモードが戻り、

呼吸が深くなり、眠りの質や肩こり・頭痛の改善につながることも少なくありません。

「最近、眠れない」「常に緊張している」と感じる方は、

ストレスを疑う前に、まず顎の力みをチェックしてみてください。

あなたの“自律神経の乱れ”は、もしかすると――

その小さな「食いしばり」が原因かもしれません。

それでもなかなか解決しない場合は身体全体の状態を見て改善が必要なので、当院にご相談ください。

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